自分の髪の毛を頭皮の別の場所に移植する自毛植毛は、いくつかの種類があり、状況や患者の希望に合わせて選択することができます。現在主流となっているものは大きく2つで、FUE法とFUT法に分けられています。どちらの方法でも自分の髪の毛をドナーとして採取することになるので、大前提として頭髪が残っていることが重要になります。

FUEとは「Follicular Unit Extraction」の略で、簡単に翻訳すれば毛包単位でドナーを採取するという意味になります。毛髪は毛穴から生えてくるのですが、何も1本だけが生えているというわけではなく、大抵は2~3本の毛がまとまって生えています。せっかく毛髪が多く生えているので、少しでも髪の毛のボリュームを増やすためにも、髪の毛だけでなく、その根元である毛包から取り出して、それを移植した方が見た目も良くなるというものです。

FUE法ではメスを使用せず、パンチと呼ばれる特殊なマシンを使用して毛穴からくり抜くようにしてドナーを採取します。対象となるのは、AGAなどで薄毛の影響を受けていない部位で、側頭部などもありますが、基本的には後頭部から採取するようになります。

使用するパンチの口径はクリニックによって違いはありますが、0.6~0.8ミリ前後の非常に細いもので、採取した後はちょっとした傷跡にしからならず縫合するほどの大きさもないので、放置したまま傷が塞がるのを待つようになります。くり抜いたドナーはある程度の数が揃ったら、次に特定の部位に移植していくことになります。

自然な髪の毛を演出するために、毛の生えてくる流れや密度を考えながら移植する部分にスリットを開き、そこに採取したドナーを少しずつ植え込んでいきます。採取するまでは基本的にマシンがやってくれるので問題はありませんが、移植する際には上手く植えていかないと見た目が悪くなったり、定着できずに細胞が死んでしまうこともあるので、ここが医師の腕の見せ所となります。

上手くデザインできれば少ないグラフト数でもボリュームがあるように見せることができるので、手術時間の短縮にもなりますし、費用も大きく変わってきます。FUE法のメリットはメスを使わないため、傷跡が残りにくいのと、ダウンタイムまでの時間が非常に短いという点です。

ただし、手術をする以上は傷跡が必ず残るので、後頭部に米粒程度の小さな白い斑点が残るため、短髪のヘアスタイルだと目立つデメリットがあります。また、隣り合わせの毛穴を採取することはできないため、ある程度の距離を取りながらくり抜いていくため、メスを使用したFUT法ほどドナーの数を作れないという問題もあります。

とはいえ、頭皮が硬い人でも手術を受けることが可能なため、FUT法で断られた人でも利用できるというのが最大のメリットとなります。一昔前では採取した細胞に傷をつけてしまい、ロスすることも多かったFUE法ですが、最近は高精度なマシンを使用しているため、高い確率で成功することが知られています。